ED(勃起不全)の原因と改善策の考察

2022/05/28
by 高山 愛子

ED(勃起不全)の原因と改善策の考察

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EDの意味と原因
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EDの意味とは、性的刺激を受けても勃起しない、あるいは勃起が持続しない症状のこと。

勃起に必要不可欠なのが、陰茎海綿体への十分な血流。陰茎の血流を増やすのに必要な要素は2つ。

性的刺激により脳から勃起の信号を送る神経系の働き
陰茎の血流をコントロールする血管系の働き
どちらか一方の働きが悪くなることが原因となり、十分な勃起を得られずEDとなる。勃起に必要な2つの働きに関係しているのが精神的・心理的要因、心血管系疾患、肥満や運動不足、喫煙や生活習慣など。

EDの症状改善には、勃起不全となる原因を正しく理解し自己診断することが重要。

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EDの種類は4つ
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EDには4つの種類があり、その原因により区別されている。
EDの種類(原因)
1、器質性ED(動脈硬化・神経の障害)
2、心因性ED(精神的なストレス)
3、混合型ED(動脈硬化・神経障害・ストレス)
4、薬剤性ED(ある薬剤の服用)

原因の詳細
1、加齢に伴う動脈硬化・糖尿病・高脂血症・脳出血など神経が傷害される病気・手術・外傷・一部の泌尿器系の病気など
2、仕事や夫婦関係など日常生活におけるストレス・性交が上手くいかなかったトラウマなど
3、動脈硬化の進行・糖尿病や高血圧、外傷などにストレスなどの精神的な要素が加わる場合など
4、一部の種類の薬剤によるED(解熱・消炎鎮痛剤・筋弛緩薬・不整脈治療薬・利尿剤・降圧剤・消化性潰瘍治療薬など

神経と血管の片方、あるいは両方のどちらかが正常に機能しなくなることで、勃起に必要な陰茎海綿体への血流が不十分となる。血液の流れ込み方が足らないとEDが引き起こされる。

「器質性ED」は、動脈硬化の進行が原因となる。加齢による場合が多いが糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病が動脈硬化を引き起こす要因ともなる(参照:バイエル薬品 EDネットクリニック.com「生活習慣とED」)。さらに脳出血、脳腫瘍、脳外傷などの病気やケガにより神経に損傷する場合もEDを引き起こすこともある。

精神的ストレスが原因となり「心因性ED」になるケースもある。仕事や日常生活でのストレス、性交がうまく行えないなどのトラウマがあると、性的刺激を脳に伝える神経に支障をきたす結果となる。

「混合型ED」は、血管や神経の損傷だけでなく精神的なストレスも加わり、両方の要因によりEDとなるケース。EDの原因が、体の不調だけ、精神的ストレスだけという場合よりも、どちらの要素も混ざり合っている場合の方が多い。

体そのものに原因がある場合だけでなく、一部の種類の薬剤の服用により「薬剤性ED」になることもある。中枢神経・末梢神経・循環器系・消化管に作用する薬が該当する。

自身の勃起が十分に得られない場合には、該当する原因があるか確認してみると良いだろう。

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EDの自己診断
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EDの診断では上記のポイントがチェックされている。
この 6 ヶ月に,

1.勃起してそれを維持する自信はどの程度ありましたか
1 非常に低い
2 低い
3 中くらい
4 高い
5 非常に高い

2.性的刺激によって勃起した時,どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになりましたか
0 性的刺激はなかった
1 ほとんど,又は全くならなかった
2 たまになった(半分よりかなり低い頻度)
3 時々なった(ほぼ半分の頻度)
4 しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)
5 ほぼいつも,又はいつもなった

3.性交の際,挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できましたか
0 性交を試みなかった
1 ほとんど,又は全く維持できなかった
2 たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度)
3 時々維持できた(ほぼ半分の頻度)
4 しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)
5 ほぼいつも,又はいつも維持できた

4.性交の際,性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか
0 性交を試みなかった
1 極めて困難だった
2 とても困難だった
3 困難だった
4 やや困難だった
5 困難でなかった
 

5.性交を試みた時,どれくらいの頻度で性交に満足できましたか
0 性交を試みなかった
1 ほとんど,又は全く満足できなかった
2 たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度)
3 時々満足できた(ほぼ半分の頻度)
4 しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度)
5 ほぼいつも,又はいつも満足できた
(引用:ED 診療ガイドライン[第3版] 日本性機能学会 / 日本泌尿器科学会「ED問診票 SHIM」チェックリスト)

勃起の有無はもちろん、持続的な勃起の頻度や満足度などからの総合的な判断となる。問診票での合計点が低い(21点以下)状況であればEDである可能性も考えられる。

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EDを自分でケアするための改善策と注意点
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EDの原因が軽い、血管系や神経系の病気にも該当しない場合には、自らのケアによって勃起機能を改善することが可能。自分でできるEDの改善策は意外と多いため、できることから試してみると良いだろう。

セルフケアでEDを改善する場合は注意点もあるため、以下にて説明していく。

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EDをセルフケアで改善する
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EDをセルフケアで改善するには、「運動・ストレス解消・禁煙・減量」が重要となる。

運動による勃起機能の改善
EDに対するセルフケアの1つに運動がある。勃起機能が運動により改善されたという報告もあり、特に有酸素運動は高い効果が期待できる。ジョギングやウォーキング、自転車、水泳などを取り入れてみると良いだろう。

ストレス解消による心因性EDの改善
20~40歳代の若い世代に多いのが、ストレスが原因で起こる心因性ED。器質性EDとなる要因がない場合には、自覚しているストレスだけでなく、無意識に溜め込んだストレスが勃起不全の原因となっていることもある。

できる限りストレス解消に努め、規則正しい生活を送ることが重要。それでも改善しない場合には、専門医に受診してみると良いだろう。

禁煙による勃起機能の改善
喫煙はEDの原因と言われるが、事実、喫煙者にはED患者が多く存在する。タバコに含まれる二コチンは血管を収縮させる作用があるため、喫血流に影響を与えやすくなるのだ。血行障害があると性的刺激を受けても陰茎への血流も悪くなる。血行不良は勃起の妨げとなる。

喫煙により男性ホルモンのバランスが崩れると分泌が減少する。性欲の減退にも直結するため、EDを改善・予防するには禁煙がおすすめ。

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減量で生活習慣病の改善と予防
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EDと肥満には密接な関係があり、BMI値が30kg/㎡以上の人は、23kg/㎡未満の人よりEDになるリスクが約1.7倍高くなるというデータもある(参照:厚生労働省委託事業 Mindsガイドラインライブラリー「4EDのリスクファクター(肥満と運動不足)」)。

肥満には運動不足や栄養の撮り過ぎなども関係している。減量には運動やカロリー制限が重要となるため、実践することで体重が減少して勃起機能を改善できる可能性がある。

減量によりEDのリスクを高める生活習慣病改善と予防にも繋がるため、肥満ぎみの方はダイエットを始めてみるのも良いだろう。

生活習慣病を予防する
EDに最も大敵なのが血管や神経の損傷。気を付けたいのが生活習慣病であり、特に高血圧・糖尿病・脂質異常症に注意が必要。

糖尿病:血糖値の高い状態が続くことで神経や血管が障害を受ける。性的刺激が陰茎に伝わり難くなり血液が悪くなる。
高血圧:高血圧によって陰茎海綿体の動脈が障害を受ける。十分な量の血流が成されなくなる。
脂質異常症:動脈硬化が進み陰茎の血流が悪化。

勃起に必要となる十分な血流を守るためには、血管や神経が損傷しないことが大事である。生活習慣病の予防はED改善だけでなく健康維持にも重要。規則正しい生活を送り、食事と運動に気を配る生活が理想的。

自転車のサドルは陰茎の神経や血管を傷つける
自転車に乗ることは健康増進に役立つ。ただしスポーツタイプの自転車は、「細いサドル」が原因でEDになるリスクがあると言われている。この種の自転車はサドルの細さだけでなく前傾姿勢となるため、陰茎海綿体とつながる動脈が損傷を受けることがあるのだ。

勃起にかかわる神経や血管を圧迫するサイクリングで自転車EDとなったと考えられる人が、アメリカで300万人も報告されている。日常的に自転車に乗っている場合、目安として毎日2時間(片道1時間)以上の利用は注意が必要。

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